白山市観光連盟からの依頼を受け、2023年10月に続き2回目となる市内白峰地区をユニバーサルツーリズム視点で視察しました。
2023年10月、初めて白山市を訪れてからセミナー、実証、モニター等で今回が5回目の訪問となりますが、白峰地区は初めてです。
※まち歩きマップ、上記マップのデータがあれば地域内のバリアフリートイレを調べ追加で落とし込み、車いすでも安全に移動できるルートを色分けなどすればバリアフリーまち歩きマップになります。観光協会サイトでデータで発信した場合に、トイレマークをクリックしたらトイレ内画像が現れるような情報の見える化も簡単にできますよね。
同じ白山市でも海に近いJR松任駅から南に約45km、日本三霊山の1つ「白山」の登山口に最も近く、重要伝統的建造物群保存地区に選定されている白峰地区は、「白山温泉総湯」を中心に古い建物が点在し趣のある街並みでした。
最初に訪れたのは昼食と宿泊施設の見学として「白山白峰 奥山人の里(ゆう棟)」。
古い商家を改装し、1階にレストラン「YOU」、階段を上がった2階には客室「翠」「千」の2部屋、宿泊は難しくてもレストランは入口に3段の段差だけで、店内は椅子テーブルです。
足腰が不安な高齢者でも、少しの段差の先にこんな素敵な食事が待っていればこれくらいのバリアは越えられますよね。
レストランから100ⅿほどのところには町の中心「白山温泉総湯」があります。
入口の脇にはスロープがあり、館内は玄関→ロビー→脱衣所→浴場までフラットです。
エレベーターで上がった2階にはバリアフリートイレもあり、古い町並み、外観からは想定外のバリアフリー温泉でした。
敷地内には、江戸から明治初期にかけて建てられた豪農、商家、農家など移築された6軒の家屋の中も見学できます。
今回は延べ床面積が300坪を超える県下最大級と言われる「杉原家」を見学しました。
江戸時代の建物なのでバリアフリーではありませんが、可能な方は1階だけでも見学すると養蚕、酒、金融、生活用品の販売などで財を成した豪農の生活を垣間見ることができます。
急な階段の上の2階、3階は養蚕で使われてたとのことでした。県下最大級の大きさを体感できました。
見学の後は囲炉裏を囲んで、郷土料理?おやつ?粉末状のヒエを湯で練って食べる「かましいりこ」をいただきました。
稲作ができない山村では、栄養価の高い「かまし(雑穀)」が重要な栄養源だったようです。
建物内の急な階段も視覚障がい者なら、気を付けて手引きをすればご案内できます。
天井が低いので太い柱に触れたり、畳や敷居を跨ぎながら足で広さを感じ、石臼体験、囲炉裏を囲んでお話を聞きながら味わう「かましいりこ」など、楽しんでいただけるプログラムだと思いました。
民俗資料館のすぐ隣には、八百年の歴史と伝統を受け継ぐ「牛首紬」の製造工程を学べる織元「白山工房」。
製造工程のうち半分の展示は階段の上の2階にありますが、機織り体験は1階です。
私のようなオジサンでも、教えてもらうとわずか5分ほどでコースターを織ることができました。
その後急きょ訪問し開けていただいた「林西寺」
雪対策で本堂は囲われていましたが、別棟の入口から入ると車いすでもお参りできるスロープも設置されていました。
最後に訪れたのは、オープンしたばかりのオーベルジュ「ENNU(エンヌ)」
白峰に来て気づくのは、豪雪に対応するため建物の多くは高床になっていて新しくオープンしたこちらのレストランも同様で、入口までは緩やかな階段状の段差を上がる必要があります。
しかし、1段1段車いすが乗るスペースがあるので介助に慣れた方なら問題なく上がることができます。店内には広めのスペースが確保されたトイレもありました。
大きな窓から望める「白山の頂」はこの立地ならでは。
レストランのすぐ横には、宿泊者用の2階建てロッヂが3棟並びます。2棟は入口まで数段の階段、一番上のロッヂだけはスロープでアプローチできます。
いずれも寝室は階段を上がった2階ですが、トイレ、バスルーム、写真のような居間は1階にあります。
〈視察を終えて〉
白峰地区の古い町並み、民俗資料館の「杉浦家」、白山工房、歴史的建造物が多い観光地では、常にハード面のバリアが課題に挙がります。
私はすべてを見学できるようにすることだけが、観光地のユニバーサルツーリズム対応ではないとお伝えしながら活動をしてきました。
歴史や文化を残したまま、可能な範囲でいかに見学できるかを考える、可能な範囲でいかに体験いただけるかを考える。
対応は100かゼロではありませんし、受入れ側の工夫や配慮は訪れる方に必ず響きます。
下記のような対応もお金をかけずにできることの1つで、白峰地区を視察している最中に思い出しました。
すぐに変えられないハード面のバリアは、知恵と工夫のハートのバリアフリーで対応できることも多くあります。
〈2023年10月、1回目視察の様子〉
office FUCHI 〜オフィス・フチ〜 〈渕山知弘〉
渕山知弘 office Fuchiのサイト 東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に宿泊、交通、観光のバリアフリー化が加速し「心のバリアフリー」が推進されています。 大手旅行会社で30年勤務し、そのうち22年間バリアフリー旅行、ユニバーサルツーリズムに携わった経験を活かして、全国の自治体、企業、学校等のユニバーサルツーリズムの推進をさいたま市の見沼田んぼの片隅からお手伝いしてます。
0コメント