夢をあきらめない〈視覚障がい者自動車運転ツアー〉
世界初!視覚障がい者夢の自動車運転ツアーの実現
1998年から2013年まで、視覚障がい者の参加者と巡る四国八十八ヶ所お遍路の旅、「バリアフリーお遍路ツアー」を企画、運営していました。盲導犬も一緒に宿坊に泊まったり、朝のお勤めに参加したりと私自身は八十八の札所を四巡しました。
2005年、とある宿坊で参加者の皆さんと団らんしている時に、一人の全盲のお母さんから言われた一言で実現したのが視覚障がい者自動車運転ツアーです。
「渕山さん、一生に一度でいいから車を運転してみたいんだけど」
普通なら目が見えない方が車のアクセルを踏むなんて考えられないと思います。「危ない!」「絶対に無理!」となるはずです。しかし、私はそれまでに延べ数百名の視覚障がい者の方々と国内外のツアーでご一緒し、ツアーを企画していたのでこう考えました。
このお母さんの言っている事、助手席にブレーキがある教習車のような車と、ぶつかる心配がないくらい広い場所が用意できれば実現できるかもしれない。
その後、北海道のサーキットやアメリカのソルトレイクなどいろいろとあたりましたが、なかなか目途が立たないまま5年が過ぎました。
しかし2010年3月、茨城県の県西自動車学校が協力を申し出てくれたのです。
すぐさま現地に伺い、教官の皆さんと実現に向けた打合せが始まりました。
教官には視覚障がい者疑似体験をしてもらい、どんな情報の伝え方が必要かを感じていただき、私自身もアイマスクをして教官の指示のもと安全に運転ができるか検証をしました。
結論は、教習所のスペースでも運転の指導のプロが助手席から指示すれば、安全に実施できる!と確信しました。
そして2010年11月10日、世界初となる視覚障がい者自動車運転体験が茨城で実現しました。
その後、HONDAの協力により栃木県のツインリンクもてぎに場所を移し、運転以外にもジップライン、タッチツアーとプログラムも充実し、1泊2日のバスツアーとして確立されました。
下記は、ツアーの様子がわかる動画です。
(本田技研工業㈱ 「HondaTV」提供映像)
2016年、このツアーは第2回ジャパン・ツーリズム・アワードにおいて「国内領域優秀賞」を受賞しました。
もちろん、ご登壇いただいたのは2005年四国バリアフリーお遍路ツアーで、「一生に一度でいいから車の運転をしてみたい」と言ったお母さんと盲導犬です。