四万十市 四万十黒潮旅館組合総会&バリアフリー観光セミナー実施!

6月2日(日)、令和6年度四万十市バリアフリー観光セミナーが市内の「新ロイヤルホテル四万十」にて開催されました。



昨年9月四万十川遊覧船で実施したセミナーに続き2回目となります。

今回は市内での実施でしたが、良い設定にされたなぁと感じたのがこの日に開催される旅館組合の総会に合わせて計画をされたことです。


良いと感じた理由

①セミナーだけで募集するのではなく、もともと宿泊業者の方々が集っている機会に合わせたこと。

②総会なので経営者が多く参加されていること。

特に②、バリアフリー観光、ユニバーサルツーリズムの推進にはいくらスタッフに思いがあっても、経営者の考え方によってはカタチにすることが難しいということをよく耳にします。

トップが理解し共感されると加速しますよね。

旅館組合が同時開催の判断をされたこと、素晴らしいと思います。

宿泊事業者、行政関係者、観光施設、旅行会社、お隣黒潮町からも観光に関わる様々な立場の方が25名参加されました。


第一部の座学セミナーでは「誰もが楽しめる四万十に!」として

・ユニバーサルツールズムとは

(10年前、「ユニバーサルツーリズム」という言葉聞いたことある方?という質問を会場にすると1割程度しか手は挙がりませんでしたが、全員「知っている」とのこと。時代は変わりました!)

・観光庁が今この分野で何を推進しているか

・国内外の実際のツアーの様子

・四国、高知、四万十市でのバリアフリーツアーの様子

・高知県が実施してきたバリアフリー観光推進事業の紹介

などを通じて、必ずしもハード面が整備された観光地を訪れることだけがユニバーサルツーリズムではなく、当事者の「行きたい!」をどう「行ける!」にする工夫ができるかが受入れ側に必要なことで、過去の工夫例などをお伝えしました。

・先進的宿泊施設の対応事例の解説

宿泊事業者が多く参加されるセミナーでしたので、先進的に取組まれるホテルとして松江しんじ湖温泉「なにわ一水」さんを例にバリアフリールーム等のハード整備だけではなく、一般的な福祉用具の貸し出しで対応できることも多いことや、宿泊客のお困りごとをすぐにその場の工夫で対応するソフト面(心のバリアフリー)対応などをご紹介しました。



(「なにわ一水」さん、外国人車いすユーザーのジョシュアさんには画像使用許諾済み)


第二部の体験セミナーでは

・アイマスクを使用した視覚障がい者体験とサポート体験

最初は全員アイマスクをした状態でツアー参加者になっていただき、添乗員役の私が食事位置の説明をします。頭に配膳がイメージできるようクロックポジションでの説明を学んでいただきました。

その後、2人1組でペアになっていただき、会場を出て館内を移動します。

お気づきの方もいると思いますが、最初は正しい手引きの方法はお伝えしておらず各自良かれと思う方法でやってもらっています。

この研修は手引きの方法を学ぶことが一番の目的ではなく、サービス提供者として「見えない」とどんな情報が必要か、何に不安を感じるかなどを知ってもらい、良かれと思ってのサポートが相手を不安にさせる可能性があることに気付いてもらうことが目的です。

全員戻ってきたところで、一般的な手引きの方法、身長差があった場合、狭い通路を移動する場合などを解説し、相手に確認しながらまたは教えてもらいながら行うとボタンの掛け違いなく対応できることが多いことをお伝えしました。


・車いすの基本的な機能と操作体験

今は施設として車いすの貸出しをしているところはすごく増えているのですが、そもそもスタッフが車いすに触れたことがない、操作方法がわからないというケースも多いため、まずは車いすの基本的な機能から説明しました。

その後、会場の入口にある4cmほどの段差を使い

※会場となった新ロイヤルホテル四万十では本来は簡易スロープを用意されています。

あえてスロープを外し、我々にとってはわずかな段差でも自走車いすでは越えられない壁ということを知ってもらいました。

壁を感じていただいた後に、ちょっとしたサポートがあれば越えられる壁ということも体験いただきました。

翌日には高知新聞さんが当日の様子を記事にしてくれました。

会場だけで終えてしまうと25名にしか伝わらないことも、メディアが入ることで多くの県民に「四万十市は誰もが楽しめる観光地」という姿勢をつたえることができ、県内の高齢者や障がい者が四万十市、黒潮町を訪れるきっかけにもなります。

〈6月4日高知新聞〉

※画像は正しい手引きの様子ではありませんが、上記記事中の理由によるものなので参加者に意図は伝わっています。

セミナー終了後には組合の総会後の懇親会にお招きいただき、セミナーの感想や今後四万十市、黒潮町で取組めそうなアイデアなど皆さまとの意見交換もできました。

高齢者や障がい者が訪れやすいまちは住民にとっても住みよいまち、まさにその通りだと思います。

全国平均を大きく上回る高齢化率37.3%(令和5年4月1日現在)の四万十市、まずは地元の高齢者が参加したくなるような観光プログラムやイベントを意識するだけで市全体でユニバーサルツーリズムの機運が高まると感じました。


オフィス・フチでは、地域の観光素材、参加者属性、地域の課題、会場の状況など様々なニーズに合わせたセミナー、研修、勉強会の運営を心がけています。

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office FUCHI 〜オフィス・フチ〜 〈渕山知弘〉

渕山知弘 office Fuchiのサイト 東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に宿泊、交通、観光のバリアフリー化が加速し「心のバリアフリー」が推進されています。 大手旅行会社で30年勤務し、そのうち22年間バリアフリー旅行、ユニバーサルツーリズムに携わった経験を活かして、全国の自治体、企業、学校等のユニバーサルツーリズムの推進をさいたま市の見沼田んぼの片隅からお手伝いしてます。