高知県 視覚障がい者触れて楽しむタッチツアー①

2018年からバリアフリー観光の推進を県として取組む高知県。

今回は視覚障がい者が視覚以外で楽しめる観光のモニターツアーに同行しました。

受入れ施設も初めて視覚障がい者に体験してもらうというところもあり、今回のモニターを通じて受入れの方法や体験の工夫などを考えてもらうきっかけになればと思います。

(伊尾木洞・安芸市)

最初に訪れたのは、県東部安芸市の「伊尾木洞」、300万年前の土佐湾海底の地層が隆起し、波に削られてできた洞窟で「奇跡の洞窟」と言われている場所です。

何十回も目の前の国道55号を行き来してきましたが、国道からわずか数十メートルのところにこのような場所があることを初めて知りました。

自然の洞窟のため、地元の方も車いすの方には見学は難しい=バリアフリーではない=障がい者は無理、と思われていました。

実際に洞窟に入ってみましょう。

洞窟の入口に入った瞬間に一気に数度気温は下がりヒンヤリした空気が体全体を包みます。

今回は一般的なガイドと同じ内容で案内してもらったので、まず入口で伊尾木洞の概要を説明してもらいました。

以前ツアーをご案内する際にバスガイドさんから

「景色が見えない視覚障がい者に、見えない景色を説明するのは失礼にならないか?面白くないのでは?」

と言われましたが、私は

「通常通りのガイドをお願いします。ただ、「あちら」「こちら」「そちら」はすべて「どちら?」になるので、「右手」「左手」と方向がわかるように、そして普段以上に情景を言葉で伝わりやすいように説明してください。」

とお願いしました。

じつは、視覚障がい者にもイメージいただけるようなガイディングは、一般の観光客、子供たち、「誰もが」わかりやすいガイディングになるんです。

そこの工夫を少しすると、伊尾木洞には触れることができる(タッチツアー)観光素材がたくさんあります。

隆起した地層に直接触れることができます。


40種類以上のシダは国の天然記念物に指定されていて、これも触れながら違いの解説を受けることができます。

事前に用意いただいた貝の化石にも触れてもらいます。

伊尾木洞は視覚に障がいがあっても、十分楽しめる観光地です。

「300万年前にタイムスリップ!太古に触れる伊尾木洞」

次は伊尾木洞から45km、1時間ほど「ゆず」で有名な馬路村に移動しました。

(魚梁瀬森林鉄道•馬路村)

ここは、「森林鉄道からゆずロードへ」というストーリーで日本遺産にも指定されていて、明治時代に杉を運んだ森林鉄道が観光用に残っています。

そして、約400mの線路を自分で運転できる運転体験もできるのです!

ここに座れば、視覚障がい者も車いす使用者でも運転することができます。

係のお父さんが操作方法を教えてくれます。

6年ほど前にさいたま市の鉄道博物館を夜間貸切視覚障がい者向けタッチツターとして実施したことがあります。

なんと、北海道から山口県まで全国から鉄道好きな視覚障がい者の申込みがありご案内しました。


そして栃木県ツインリンクもてぎで実現している「世界初!視覚障がい者自動車運転ツアー」のように運転体験はすごく喜ばれるプログラムです。


魚梁瀬森林鉄道、歴史の解説、触れる、運転できる、発信の仕方次第では全国から視覚障がい者鉄っちゃんが訪れる観光地になりそうです。

高知県では専用サイトでバリアフリー観光情報を提供しています。


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office FUCHI 〜オフィス・フチ〜 〈渕山知弘〉

渕山知弘 office Fuchiのサイト 東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に宿泊、交通、観光のバリアフリー化が加速し「心のバリアフリー」が推進されています。 大手旅行会社で30年勤務し、そのうち22年間バリアフリー旅行、ユニバーサルツーリズムに携わった経験を活かして、全国の自治体、企業、学校等のユニバーサルツーリズムの推進をさいたま市の見沼田んぼの片隅からお手伝いしてます。