今年度(令和4年度)、高知県のバリアフリー観光推進事業をお手伝いすることになり、その最初のお仕事です。
2月に個別セミナーの依頼を受けた仁淀川流域の1つ土佐市を訪れました。
視察した先は、酒蔵見学「亀泉」、鰹節工場「浜吉ヤ」、そして漁師町宇佐のまちを歩く「宇佐ぶら」
高知県おもてなし室、仁淀ブルー観光業議会、土佐市、土佐市観光協会の方々と解説、アドバイスをしながら半日ご一緒しました。
(酒蔵「亀泉」)
酒蔵見学は古い建物が多く、バリアフリーではないから車いすでの観光にふさわしくないと考える方が多いです。しかし、置かれている道具類を整理すると車いす動線が確保できるケースも多く、階段や狭い通路で見学できないところは、画像や動画でカバーできます。
車いす用のトイレは近隣の道の駅や公共施設などどこにあるかを明示すれば、見学者が準備して訪れるでしょう。
最後に、実際に10年ほどまえに富士河口湖町の酒蔵で実施した、下見→アドバイス→モニターツアー→町のパンフレット掲載までの流れを画像をご覧いただき解説させていただきました。
その時の様子は下記をご参照ください。
なによりも「美味しい!楽しい!面白い!」をモットーとする酒蔵「亀泉」、見学後にカウンターでの試飲は、想像を超える種類のお酒を楽しめるとのこと、今年度中には是非行きたいものです。
(鰹節工場「浜吉ヤ」)
路地に面したお店に入ると商品を販売する棚と棚の間の狭い通路を抜けて、裏の工場にご案内するのが通常の工場見学でした。
これが一般の方の工場見学のイメージです。鰹節の香りプンプンの中、やさしいご主人の土佐弁の解説は、視覚障がい者でも楽しめる観光です。
工場から商品出荷の動線があると思い、奥を覗くと裏の道から広い通路で入れることがわかりました。
車いすに乗ってその動線から工場に入る、そして見学している画像を残す。
この画像が地域のバリアフリー観光紹介のサイトに説明と共に掲載されると訪れる方が計画しやすいと思います。
狭い路地を巡る「宇佐ぶら(まち歩き)」には、車いすけん引装置「JINRIKI」が活躍しそうなことも伝わりました。
仁淀ブルー観光協議会では、JINRIKIを2台導入されているのでまずは地域内の観光素材を観光関係者の皆さんでフィールドワークをやれると良いとアドバイスしました。
最後に空き地の砂利、草地、車いすを押して移動するのがが困難な場所で体験してもらい、活用できそうな観光地をイメージいただき、視察を終了しました。
観光協会、行政の方々と地域内の事業者さんの関係が良いことが横から見ていてもわかり、この方々がバリアフリー観光、ユニバーサルツーリズムの旗振りをされたら、いろいろと動き出しそうな雰囲気を感じる半日でした。
《避難・防災としてのJINRIKI活用》
高知県は、南海トラフ地震に対する準備に相当力を入れている県だと思います、しかし県の高齢化率36.1%、地域によっては50%を超える状況の中、県内いたるところにある津波避難タワーへ避難困難者(車いす使用者、杖を使っている高齢者、知的や視覚障がい者…)を少ない人数でより多くの方を助けようとするとJINRIKIを装着した車いすに乗ってもらい、タワーを前後2人で駆け上がることが有効となります。
そのためにも観光として活用しながら、町の人たちが普段から目にする、多くの方が使い方に慣れておくというのも重要かもしれません。
office FUCHI 〜オフィス・フチ〜 〈渕山知弘〉
渕山知弘 office Fuchiのサイト 東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に宿泊、交通、観光のバリアフリー化が加速し「心のバリアフリー」が推進されています。 大手旅行会社で30年勤務し、そのうち22年間バリアフリー旅行、ユニバーサルツーリズムに携わった経験を活かして、全国の自治体、企業、学校等のユニバーサルツーリズムの推進をさいたま市の見沼田んぼの片隅からお手伝いしてます。
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