3日目(11/26)は高知市内から60km、約1時間四国の真ん中に広がる嶺北地域(大川村、土佐町)を訪れました。
高知の秘境、大川村「村のえき 結いの里」で体験したのは
吉野川の源流、早明浦ダムでのワカサギ釣りです。
岸からボートで50m先の浮桟橋に移動し、釣り糸を28m下の湖底まで垂らしてワカサギを釣ります。
ワカサギのアタリは視覚障がい者でもすぐわかり、なんと1番最初に釣ったのはモニターの竹崎さん(全盲)でした!
もちろん、みんなで食べる天ぷらのために私もチャレンジしましたが、残念ながらこれはワカサギではありません・・・(骨が多い別な魚のようです)
1時間半ほどで釣ったワカサギは、このプログラムを提供しているNPO法人さめうらプロジェクトの皆さんが天ぷらにしてくれました。
旅行会社在籍時に高齢者・障がい者の参加者に喜ばれた企画の1つが「釣り」です。
積極的に提供しているところが少ないため、障がい者の方々は車いすや全盲で釣りは「できない」と思っている方が多く、高齢者の中には昔は釣りが大好きだったお父さんも「あきらめて」しまっている方が多いようです。
過去実際に実施した例をご紹介します。
2009年2月、千葉国体・障がい者大会を控えた千葉県では障がい者でも楽しめる千葉の観光プログラム作りで、館山の漁港でのイワシ釣りを楽しんでいただきました。
提案当初は自治体、観光関係者いずれも「障がい者が防波堤で釣りは危険」という意見でしたが、「安全に実施するためにはどうしたらいいかを考えて企画しましょう!海に囲まれた千葉の売りとなる観光資源です!」と伝え、地元の「NPO法人たてやま・海辺の鑑定団」の協力で実現しました。
この時も、釣ったイワシをすぐ脇で天ぷらにして皆さんで美味しくいただきました。
2009年11月には、長野県諏訪湖で船からのわかさぎ釣りを企画しました。
いずれも、初めて釣りをした!また釣りができると思わなかった!と大好評でした。
高知県でも昨年、浦ノ内湾の釣筏での釣りを車いすユーチューバー眠梨桜さんに体験いただきました。
ワカサギ釣りの後はお隣の土佐町「道の駅土佐さめうら」に移動し
絶賛開催中の「あかうし街道2022」、BBQランチです。
基本セットを注文すれば、道の駅で販売されている野菜や肉、その他飲物の持ち込みもOKという太っ腹で、あかうしの上質なお肉にビックリな内容です。
食後は道の駅のすぐ裏手にある高知の銘酒「桂月」の酒蔵見学。
歴史ある酒蔵なので障がいによって見学できる場所に制限はありますが、日本酒の解説を聞きながらの見学と試飲は誰でも楽しめるプログラムでした。
ここも車いす用トイレはありませんが、道の駅のトイレと組み合わせれば車いす使用者でも十分楽しめます。
<3日間のツアーを通じて>
今でも観光関係者の中には、障がい者というと「車いす」の方をイメージしてハード面のバリアだけで「うちの施設(地域)はバリアフリーじゃないから難しいです」と言う方もいます。
障がいを一括りに考えるのではなく、相手の状況に合わせて何ができるか?を考えると提供できるプログラムはまだまだ開発できる、そこに着手すると従来訪れなかった新たな客層も訪れ、必ず「誘客」につながることを観光関係者には知っていただきたいと思います。
車いすも軽い手動なのか、100㎏を超す電動なのか、高齢者なのか、障がい児なのかで対応は大きく異なります。視覚障がい者には階段、段差はそんなにバリアではありません。
そして高齢者・障がい者にやさしい観光地は、地域の高齢者・障がい者にもやさしいまちとなり
「住んでよし、訪れてよし」となります。
office FUCHI 〜オフィス・フチ〜 〈渕山知弘〉
渕山知弘 office Fuchiのサイト 東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に宿泊、交通、観光のバリアフリー化が加速し「心のバリアフリー」が推進されています。 大手旅行会社で30年勤務し、そのうち22年間バリアフリー旅行、ユニバーサルツーリズムに携わった経験を活かして、全国の自治体、企業、学校等のユニバーサルツーリズムの推進をさいたま市の見沼田んぼの片隅からお手伝いしてます。
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