東京都 アクセシブル・ツーリズムは島しょへ(八丈島編④ホテル)

今回お世話になった「八丈ビューホテル」のバリアフリー対応の一部をご紹介します。


東京都では宿泊施設のバリアフリー化に対して「宿泊施設バリアフリー化補助金」という制度を活用することができます。

補助対象は、バリアフリー化を推進するための、施設整備、客室整備、備品購入、実施設計及びコンサルティングに要する経費で、活用を促進するためのセミナーも年5回程度開催されています。

八丈ビューホテルもこの制度を積極的に活用されているホテルの1つで、既存の施設を改修して可能な限りの対応なのでバリアもバリアフリーもありますが、その状況を見える化することで顧客が宿泊できるかどうかを選ぶことができることが重要です。


(初日空港で参加者と会った際に、滞在中に必要な配慮はないかを確認される宮代支配人)

令和6年4月1日、改訂障害者差別解消法が施行されることをご存知でしょうか?全国の観光地や観光に携わる方々が知っておく必要があることは、今まで行政機関等は義務だった『合理的配慮』が民間事業者も努力義務から義務化されることです。

障がいと言ってもお身体の状態は一律ではないため、上記のように当事者との対話から対応を確認することが非常に重要になってきます。(建設的対話)

八丈ビューホテルでは、東京都の制度を活用し本館2階、3階の計18ルームを下記のようなアクセシブル・ルーム(完全なバリアフリールームではなく、車いすや杖、ベビーカーを利用する宿泊客が段差なく滞在しやすい客室)を用意しています。


・入口の段差はなだらかなスロープで解消してあります。

・トイレは車いすが回転できるほどのスペースはありませんが、客室によって手すりが左右どちらかに付いているので、片方に麻痺がある方はその旨を事前に伝えると麻痺のないほうの手で手すりを支えることができるトイレの客室を案内できます。

・洗面所、バスルームも客室からの段差はありません。

・シャワーオンリーのバスルームには備え付けの椅子が設置されていますが、必要に応じてシャワーチェア(お風呂用椅子)を貸出しています。

バスルームもスペース的には少し歩ける方や同行者の介助があれば椅子に移乗できる方が利用できます。

・大浴場には階段で地下1階に降りなくては行けません。

・山の斜面に建つホテルなので、一度表に出て外の坂を経由すると大浴場のフロアに入ることができます。

・朝食会場の入口には簡易スロープで対応しています。

※上の小さな段差にも小さなスロープを用意されているところに細かな配慮を感じました。

スロープが必要な方が宿泊する時にだけ設置できる簡易スロープは、宿泊施設に限らずレストランや小売店などあらゆる観光地で活用できるバリアフリー対応です。

(江戸時代の建物で、その都度必要な場所に簡易スロープを置いて対応される石見銀山「群言堂」の取組み)

〈バリアフリー観光モニターを終えて〉

旅行を検討する高齢者・障がい者の中には、「果たして島には行けるのだろうか?」というところからスタートする方も多いはずです。

実際は、航空機だけではなく東京と八丈島を結ぶ船の船内もバリアフリー化されており、島内での移動も現在は1台とはいえ車いすのまま移動できる車両が観光で使えます。

宿泊施設のバリフリー化は徐々にですが広がっています。

観光施設は昔ながらの施設だったり、飲食店も入口に少し段差があったりして施設にはバリアフリートイレがないというところも多いのですが、観光エリアがコンパクトにまとまっているので車で少し移動すると公共のトイレやホテルのトイレを借りることができます。

「点」ではなく「面」で観光地のバリアフリー対応を紹介していくと、車いすでも安心して訪れることができる魅力たっぷりの島ということが伝わると感じました。

その証拠に今回モニターで参加いただいた車いすユーザーご夫妻は「今度はプライベートでまた来たいと思います」と仰っていました。



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office FUCHI 〜オフィス・フチ〜 〈渕山知弘〉

渕山知弘 office Fuchiのサイト 東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に宿泊、交通、観光のバリアフリー化が加速し「心のバリアフリー」が推進されています。 大手旅行会社で30年勤務し、そのうち22年間バリアフリー旅行、ユニバーサルツーリズムに携わった経験を活かして、全国の自治体、企業、学校等のユニバーサルツーリズムの推進をさいたま市の見沼田んぼの片隅からお手伝いしてます。