1月14日(金)、福島県Jヴィレッジで第4回目となる観光講座が開催されました。「いくつになっても旅して元気に!」として福島県浜通り地域の高齢者の皆さんとユニバーサルツーリズムを学びながら、今回はリフト付きバスを使って日帰りツアーを楽しむというプログラムです。
(第1回~3回までは以下を参照ください)
前回、参加者から浜通りの「良いところ探し」で挙がった施設や飲食店は、いわき(南部)が多く参加者の多くは「あまり北のほう(相馬方面)は行ったことがない」と言われました。
当初は寒い時期でもあるので、いわきの水族館や観光市場など一般的な観光地でコースを考えていましたが、せっかくなら普段行く機会の少ない北部をバスの車窓からの視線で「被災地の今」を見学してもらおうと、考えたコースはこんな内容です。
9:30、Jヴィレッジに集合した参加者には初めて目にする「リフト付きバス」を体験いただきながら、バスに乗車してもらいました。
リフトを、足が悪くてバスのステップがつらいという高齢者に「エレベーター」としてご案内すると、それだけで高齢者にやさしいバスツアーとして付加価値になります。
車内はコロナ対策をしっかりしたうえで、私も数年ぶりに添乗員役です。
最初に訪れたのは「東日本大震災・原子力災害伝承館」(2020年9月開館)
震災からこれまでの復興の歩みを5分ほどの映像を観てから館内見学となります。
津波により変形した消防車も展示されていて、津波の力や大きさが想像できます。
すぐ近くには、2021年10月24日に開館した震災遺構 浪江町立請戸小学校もあります。
途中、浪江町の復興のシンボル「道の駅なみえ」(2020年8月営業開始)で自由昼食を楽しんでいただき、午後は相馬市伝承鎮魂祈念館(2015年4月開館)を見学しました。
ここには、震災前のにぎやかな海岸の様子がわかる写真や、持ち主に戻ることのないアルバムなどがそのまま展示してあります。
最後は、相馬復興市民市場「浜の駅 松川浦」(2020年10月オープン)でお買い物をしてJヴィレッジに戻りました。たくさん買ったものを持ってバスに戻ってこられたのが印象的でした。
あえて、各施設のオープン時期を記載しましたが、浜通りエリアにはここ数年で新たな施設が次々とできています。
そして新たに作られる施設は、まちがいなくバリアフリー対応(トイレ、スロープ、エレベーター)が整っているので、浜通りエリアは「ホープツーリズム」としてだけではなく、ユニバーサルツーリズムとしてもPRできると感じました。
この講座に参加された浜通りエリアの高齢者の皆さんには、「いくつになっても旅に行ける!」「旅に出ると元気になる!」を知っていただきました。そして「こんどは皆さんがご近所の方々、お友達に今回知ったことを伝えて、いつまでも旅を続けてください」とお話して、全4回の講座は無事終了しました。
このようなプログラムは全国の自治体で実施することが可能で、地域の高齢者と観光施設をつなげる新たな観光振興につながるのではないでしょうか。
ユニバーサルツーリズムは、受入れ側の整備だけではなく高齢者や障がい者に「行ける」ことを知ってもらうことも重要です。
office FUCHI 〜オフィス・フチ〜 〈渕山知弘〉
渕山知弘 office Fuchiのサイト 東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に宿泊、交通、観光のバリアフリー化が加速し「心のバリアフリー」が推進されています。 大手旅行会社で30年勤務し、そのうち22年間バリアフリー旅行、ユニバーサルツーリズムに携わった経験を活かして、全国の自治体、企業、学校等のユニバーサルツーリズムの推進をさいたま市の見沼田んぼの片隅からお手伝いしてます。
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